ロスを乗り越える根本解決への第一歩|ありのままにみる

「週1回、楽しみにしてたドラマが終わってロスだ・・・」「最初はあんなに楽しかったのに、すぐに飽きちゃうのってなんで?」「楽しい時間はあっという間に終わるなぁ」と楽しみや満足感が続かなくて溜め息がもれることはありませんか。

私もライブや旅行が好きな人間なので、イベントを心待ちにしているのですが、それが終わってしまった瞬間に「はぁ…終わっちゃったなぁ」と何ともいえない寂しさを感じてきました。

これは自分の飽きっぽい性格のせいなのかなと思ったこともありますが、性格のせいではありません。それは、諸行無常ということを知ればわかります。

「どうして楽しい気持ちは続かないのか…どこかに続く幸せはないのかな」とそんな気持ちになっている人は、諸行無常について学んで、根本的な解決にアプローチしてみましょう!

一切は続かない

「諸行無常」という言葉を聞いたことがありますか。どこかで聞いたような…という人も多いのではないでしょうか。それもそのはず、大概の教科書に載っている『平家物語』の冒頭に出てくる言葉です。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

平家物語

冒頭の一節を暗記しているという人も結構います。次に諸行無常の意味を見てみましょう。

【諸行無常(しょぎょうむじょう)】

世の中の一切のものは常に変化し生滅して、永久不変なものはないということ。

デジタル大辞泉

諸行とは、世の中の一切のものということです。無常とは、常に変化するということです。

1.肉体も無常

今朝あなたが顔を洗った時に鏡に映った顔は、昨日とあまり変わった気はしないと思います。しかし、数か月前に撮った学生証の写真、数年前に撮った免許証の写真、幼い頃のアルバムの自分と比べると、どうでしょうか。「これ、私だってわかるかな」というレベルで変わった人もいるのではないでしょうか。

友達に対しても、数年ぶりの同窓会で「変わったなぁ…」と思うことがあるかもしれません。それは、日々の小さな変化の積み重ねによるものです。数年分、一気に変わるのではなく、1日1日、1秒1秒、少しずつ変わっているのです。

このように少しずつ変わる場合もあれば、事故で骨折したり、病気で入院したり、突然、大きく変わってしまう場合もあります。

2.物体も無常

物体も無常です。ボールペンのインクは少しずつ減っていってやがて出なくなります。家も昨日と今日では何も変化していないように見えますが、確実に老朽化しています。

物体も突然変わってしまうことがあります。スマホをうっかり落として画面がバキバキに割れてしまったという経験がある人も多いのではないでしょうか。私の友達は、ある日突然、パソコンがプツンという音を立てて二度と起動しなくなり、パソコンの中のデータが全部消えてしまうという悲劇に見舞われました。

最近は豪雨災害が頻発していますが、災害によって、これまでの生活が一変してしまうこともあります。

3.心も無常

全てのものは変わると聞いたとき、確かにそうだなと頷く人も、1つ見逃しがちなことがあります。それは、私たちの心もまた無常だということです。

肉体や物体の変化は目に見えるのでわかりやすいのですが、心は目に見えないので、変わるものだということをつい忘れてしまうのです。

ロスに陥ったり、楽しく充実した気持ちが続かないのなぜなんだろうと悩むことがありますが、そもそも、充実感も、達成感も続かないものなのです。

このように、小さく変わるか大きく変わるかという違いはありますが、全てのものは変わっていきます。ずっと変わらないものはないのです。それを諸行無常といいます。

なぜ「続かないものを続かない」とみるのか

続かない実態をみることはつらいことです。大切な人との別れや、大事にしてきた宝物が壊れるなんて、事実であっても考えたくありません。可愛がっているペットとも、いつか別れの日がやってきますが、可愛がっているほど、想像するのもいやだという思いになります。

では、なぜどんな幸せにも終わりがあるということをみるのでしょうか。それは無常から目をそらしていては、続く幸せを知ることができないからです。

「続かないものを続くんだ」と間違った見方をしていると、自分の性格のせいかなと責める必要はないのに自分を責めてしまったり、それでは解決しないというトンチンカンな方法ばかり試したりして、結果、いつまでも悩みを根本解決できない事態に陥ってしまいます。だから「続かないものを続かない」とありのままにみるのです。

医者が患者に病気と向き合いなさいと厳しく指導するのは、適切な治療をすれば病気が治る場合ではないでしょうか。

無常を無常とみるのは、つらい、いやだと思いますが、まっすぐに向き合うことが、続く幸せになる、その第一歩なのです。

「続かないものを続かない」とみるのは難しい

「続かないものを続かない」とみるというのは、そんなに難しいことだろうかと思うかもしれません。しかし、実際に取り組んでみると、とても難しいことだと気付きます。難しい理由は2つあります。1つは、続かないのは他人の事と思ってしまうから、もう1つは、続かないにしてもそれは遠い先の話だと思ってしまうからです。

理由1:続かないのは他人の事

健康診断でガンの疑いがあると診断され、再検査を受けるように指示が出たのに、病院に行かず手遅れになるケースが頻発し、問題になっています。周りの人間は、一刻も早く病院に行くべきだと勧めるのですが、当の本人は病院に行こうとしません。理由を聞いてみると、「自分がガンになんて、かかっているわけがない、大げさだ」と思っている人が多いそうです。

「まさか自分が。ない、ない」と思っているというのです。それは、この人たちだけでしょうか。大雨や地震などの災害に遭ったり、交通事故の被害者になったり、事件に巻き込まれたり、ニュースで取り上げられるような事態に自分自身が陥るとは、誰も思っていないのではないでしょうか。

だから、本当に自分に災難が降りかかると、「まさか自分がこんな目に遭うなんて…」と驚くのです。

理由2: 続かないにしてもそれは遠い先の話

すべてのものは続かないことは理解していても、今日や明日、大切な人との別れがきたり、大事にしているものが壊れたりするとは思っていないのではないでしょうか。日常が崩れる瞬間というのは、思いもよらぬタイミングでやってくるものです。

私がバイト先に原付で向かっている途中、急に原付のエンジンが故障して動かなくなったことがあります。バイト先までは距離があるし、近くに駅もない!なんでこんなときに!よりにもよってこんな場所で!と嘆きました。バイトには遅れるし、仲間に迷惑はかけるしで、散々な目に遭いました。

いつもの道、いつもの時間、いつも通りに原付を運転していたのですが、突然、予想外のトラブルに見舞われたのです。原付がいつか壊れることはわかりきっていることですが、“今、このタイミングで”とは全く思っていませんでした。

一生懸命打ち込んだ課題のデータがパソコンのトラブルで消えたり、自転車のタイヤがパンクしたり、思わぬ出来事は「今!?」というタイミングでやってきます。

世の中、続くものはないのですから、壊れる瞬間が、今やってきたとしても何もおかしくはありません。しかし、私たちはその時がやってくると「まさか今とは!」と驚くのです。これは、続かないとしても、まだまだ先のことで、当分は大丈夫と固く思い込んでいるからです。

このように、続かないのは他人の事、たとえ自分に起きるとしても、まだ先のことと思っているので、「続かないものを続かない」とみるのは難しいことなのです。

あなたも実際に 「続かないものを続かない」 とありのままに見ようとしてみてください。続かないと知識では理解しているはずなのに、本心はそう思っていないことに気がつきます。そのような自分に気がつくことが、とても大事です。

続く幸せについて、今回はその第一歩を学びました。より深く知りたい人は、続けて学んでいってくださいね。

まとめ

「どうして楽しい気持ちは続かないのか…どこかに続く幸せはないのかな」とそんな気持ちを抱えている人は、諸行無常について学んでみましょう!

諸行無常ということは、肉体、物体はもちろん、心もすべてのものは続かないということです。今、自分に幸せを与えてくれているものも続かないということですから、無常を無常とみるのはつらいことです。

しかし、「続かないものを続かない」とありのままにみることが続く幸せになる第一歩です。実際に、無常をありのままにみようとしてみてください。すると、これまで気がつかなかった、自分の心に気がつくはずです。それがとても大事なことです。

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