「心が空っぽ」自分を見失ったときの対処法

人間関係や恋愛、勉強などでつまずいて全然うまくいかないとき「はぁ~~何やってるんだろ。自分は人間としてどこか欠陥があるのかな」と思ったことありませんか。自分を見失って、どこが悪いのか、何を直したらいいのか、さっぱりわからない。そんなときは、いっそ全部投げ出して広々した海を前に「わー!!」と大声で叫びたくもなります。そんな経験が、皆さんにも一度や二度はあるのではないでしょうか。

自分がひどく空っぽに思えて、自分でも自分がわからず、どうしたらいいのやら…。そんな状態に陥ったときに自分を取り戻して元気になる方法を今回はお話ししたいと思います。

あなたはぜんぶ「偽者」

宮下奈都さんの小説「誰かが足りない」には「偽者」という言葉が印象的に使われています。主人公の男性は、仕事、恋愛、自分のすべてに納得がいっていない。何かが足りないという思いを抱え続けていました。そんな主人公には彼女がいました。納得がいかないなりに、彼女の前では笑顔でいよう、楽しくしていようと頑張っていました。

しかし、主人公はある日突然、彼女に振られてしまうのです。他の男性と結婚することを唐突に告げられます。主人公が、最後に彼女に言われた言葉です。

「偽物よ。ぜんぶ偽物なのよ」

グサッとくる言葉です。彼女の前では笑顔で楽しくいようと努めていたのに、それが偽者だと言われたのです。笑顔も楽しそうな姿も、本心はそうではないのに、嫌われたくないから、表面だけ繕っているだけだと指摘されたのです。

このような経験は皆さんにもあるのではないでしょうか。例えば、友達に誘われて映画に行ったけれど、正直、自分は面白いと思えなかった。けれども、友達の前では笑顔で「誘ってくれてありがとう。すごい面白かった」といった経験です。また「可愛い」という言葉を、本当はそうは思っていないけれど、周りに合わせて言ったという経験など。

表面だけを繕っていたことを見抜かれて主人公は悩みます。
  「本当の自分って、何なのだろう」

飾った自分じゃなくてありのままの自分を愛してほしい

彼女が言う「偽物」の意味は、「本当の私」じゃないということです。彼女に偽物だといわれて自分を見つめる主人公でしたが、彼が行き着いた答えはとても苦しくつらいものでした。

表面に貼りつけていた体裁がぼろぼろ剥がれ落ちるのを、必死に両手で押さえた。
押さえても、押さえても、はがれていった。―表面が剥がれたら、中には
何もなかった。

宮下奈都「誰かが足りない」

取り繕っている表面を剥ぎ取ったら、自分には、なにも残らなかったと主人公は言っています。石ころでも装飾すれば宝石に見えるように、ウソの気持ちで自分を飾って、人の目によく映るようにした。例え、繕ったものでも偽物でも、他人によく見えていれば、それで幸せになれると思ったのです。しかし、作り物では幸せにはなれません。

常に背伸びをしているからです。背伸びした自分を好きだと言って、恋人ができたときのことを想像してみてください。この場合、相手に背伸びした自分を見せ続けなければなりません。作り物の自分を相手が好きになればなるほど、ありのままの自分を見せることが怖くなっていきます。本当の自分を見せたら嫌われるのではないか。幻滅して自分から離れてしまうのではないかと不安が大きくなります。

けれども反対に、ありのままを受け入れてもらえたらどうでしょう。着飾っていない素の自分を見せられる、それはとても安心できることなのです。

本当の自分が受け入れられて幸せになってこそ、心から安心できるのです。

一切の装飾が剥がれ落ちた本当の自分と向き合う

では、本当の自分とは、どんなものなのでしょうか。主人公は、 自分には何もなかった、空っぽだったと言っています。 装飾が剥がれ落ちたら、何かあるんじゃないかと思っていたのですが、何もなかったのです。人に見せてる外面を取り除いたら、中が空っぽだった。それに気付いたとき、主人公は一番苦しみます。

本のタイトルは「誰かが足りない」ですが、私が幸せになるのには「誰か」ではなくて、「私」が足りないのかもしれません。幸せじゃないのは、私の周りの何かが足りないからではなく、私が空っぽ、つまり、私自身が本当の自分をわかってないからなのです。

自分は空っぽだと感じたり、漠然と何かが欠けていると思ったり、周りのものにも自分にも満足できない、その原因は本当の自分を知らないところにあります。

しかし、原因がわかれば対処ができます。空虚を埋めるには、本当の自分を知ればいいのです。では本当の自分はどうやったら知ることガできるのか、その方法について次回、お話ししたいと思います。

まとめ

人間関係や恋愛、勉強などでつまずいて、自分がひどく空っぽに思えることがあります。その空虚感に襲われる本当の原因は、本当の自分を知らないところにあります。本当の自分を知って、本当の自分が受け入れられれば、心からの安心や充足感を手に入れることができますので、続けて学んでくださいね。

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