充実か非充実かは「環境」で決まる

これから大学生活が始まる新入生も、新しい学年になる先輩も4月は1年の流れが切り替わる変化の月です。これから始まる新生活、せっかくなら充実したものにしたいですよね。でもどうしたら毎日は充実するのでしょうか。授業にも出て、バイトもして、サークルにも入って、やりたかったことをして、順調なはずなのにどこか充実感が足りないという人が意外と多いのです。充実に欠かせない「環境」について今回はお話したいと思います。

これと言って困っていることはないのに物足りない

大学時代は人生のゴールデンタイムと言われます。体力にも知力にも、そして時間にも恵まれた時期だからです。けれども大学生から聞こえてくるリアルな声は、ゴールデンタイムを満喫しているとは言い難いものばかりです。

ある女子学生は、自分の周りは「しんどい」「だるい」「つまんない」「ヤル気でない」ばかりだと言っていました。時々こういう気持ちになるというのならまだいいのですが、ほぼ毎日、不満の声が聞こえてくるのが現状だそうです。

せっかくのゴールデンタイムがこのようになってしまっては残念です。日々を心の底から楽しむためにはどうしたらいいのでしょう。

自分を変えても上手くいかないときは環境を変えてみよう

よくあるアドバイスとしては「ポジティブに考えるようにする」「人と比較しない」と自分の気持ちを前向きにするというものです。できていること、楽しめていることに目を向けて気持ちを切り替えること、それももちろん大事です。

しかし、自分の気持ちを変えるのはなかなか大変です。私は多趣味な方なので、友人から「趣味を持ちたい」とよく相談を受けます。趣味を持てば充実するかもと思って相談に来るのです。そこで色々と紹介するのですが、趣味を持たない人はまずピンと来るものがなく、やってみても長続きしないケースが多いです。「そもそも何かに熱中するというのが私には無理なのかも…」と自分には向いてないんだと余計に気落ちしてしまうことがあります。

自分を変えたらいいとわかっていても、ちょっとやそっとでは変わらないのが自分なのです。多趣味な人が無趣味になるのも難しいですが、無趣味な人が趣味を持つのもやはり難しいのです。

自分を変えようとしても上手くいかないときは、あきらめるしかないのでしょうか。残る手段はもう1つあります。それは、環境を変えることです。

孟母が引っ越したのは子供の環境のため

「孟母三遷」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 教育には良い環境が大切だということを言っている言葉です。「孟母」とは、中国の孔子と並ぶ思想家・孟子の母のことです。この母の努力があって孟子は歴史に名の残る人物へと成長したのです。

孟子の一家ははじめ墓場の近くに住んでいました。子供は環境に応じた遊びをするもので、孟子は墓場ごっこをするようになりました。それに気付いた母親はすぐに引っ越しました。次の場所は、商人の町でした。すると今度は損得勘定で物事を考える計算高い子供になってしまいました。それに気付いて母親は再び引っ越すことにしました。三番目の場所は学校の近くでした。「門前の小僧習わぬ経を読む」と言われるように、孟子も学問を志すようになり、やがて大人物へと大成したのです。

この話は、「環境が人をつくる」ということを言っています。勉強するときも環境って大事ですよね。塾に行って周りがみんなが勉強していると自分も刺激を受けて自然と机に向かうようになります。また、苦手だった数学が好きな先生のおかげで得意になったり、逆に好きな英語が苦手な先生によって嫌いになったりします。私たちは、周りの環境や人に大きな影響を受けるのです。

ダイヤモンドも炭も もとは同じ炭素

環境によって大きく変わる例として、炭素が挙げられます。炭素は常温常圧だと真っ黒なただの炭です。バーベキュー用の炭ならホームセンターで3キログラム約500円で売られています。まさに二束三文で、手や服につくと汚れがなかなか取れず厄介なものです。

一方、炭素を摂氏2000℃、5万5千気圧の環境に置くと、何とダイヤモンドになるのです。小さいものでも何十万、何百万円の値段がつき、アクセサリーとして重宝されキラキラと輝きを放ちます。

つまらなくて、だるくて、しんどい、そんな炭のような毎日でも、身を置く環境を変えることでダイヤモンドのようにきらめく日々に変えることができるのです。では、どういう環境を求めたらいいのか、環境を変える具体的な工夫を紹介しましょう

接したことのないタイプの人と話す

社会人の人が積極的に取り入れている工夫です。同じ会社や同じ部署の人としか合わないと視野が狭くなるため、交流会やセミナーに行って自分の周りにいないタイプの人と出会う機会を積極的に作っています。他の大学の人や、他の学部の人、社会人と話をしてみるのも、よい刺激となるかもしれません。本や動画で色々な人の考えに触れるのも1つの方法ですよね。

行ったことのない場所に行く

国内外を問わず、行ったことのない場所に行くのも刺激になります。自分と全く違う文化の人と触れると価値観を見直すきっかけになります。美術館や博物館に行くのも知らない世界に触れることができますし、お金をかけない方法としては散歩もおすすめです。煮詰まったときに散歩をするとアイデアが湧くので、散歩を取り入れているクリエイターさんもあります。

やったことのないことをやる

体験型のイベントや学習の機会を作るのも視野が広がります。大学の授業でも多くの学部で講義と実習があると思います。知識として知っているのと、実際やってみてわかることは全然違うからです。頭でぐるぐる考えるより、とりあえずやってみると思わぬ収穫が得られることがあるので、新しい体験をする機会を多く作ってみましょう。

特に学生時代におすすめしたいのは人生について学ぶ機会を作ることです。何のために生きているのか、何をすれば満足できるか、自分とは何者か、人生の根本を学べば、ブレない指針を手にすることができます。1本筋の通った指針があれば、いろいろな壁にぶつかっても乗り越えていくことができます。ダイヤモンドのように輝く日々になるように、自分にとってよい環境を整えてみてくださいね。

まとめ

人生のゴールデンタイムと言われる大学時代。しかし、実際に気こえてくる声は、「しんどい」「だるい」「つまらない」。キラキラした毎日とは程遠いのが現実です。自分の気持ちを前向きにするのも大事ですが、気持ちを変えるのは中々大変です。そんなときは、環境を変えてみましょう。接したことのないタイプの人と話して、行ったことのないところに行って、やったことのないことを体験してみると影響を受けて気持ちにも変化が起きます。特に、人生について真面目に向き合って学ぶ機会を作ってみましょう。

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