「付き合い始めたころは楽しかったのになぁ」「最近、2人で会っていてもつまらなくて」。付き合い始めてしばらく経ったとき、こんな気持ちになったことありませんか。最初のころのドキドキ感、トキメキがいつの間にかなくなって、なんだか気持ちが冷めてしまっている。付き合い始めたころの輝きには、もう戻れないのでしょうか。今回は、科学と心理学と哲学から相手と楽しく長く付き合っていくポイントを紹介したい思います。
１．科学的に実証された恋の有効期限
２．恋が冷めたら「最大の魅力」が「最悪な欠点」になる
３．恋が冷めても仲良くやっていくには？哲学者ニーチェの名回答
１．科学的に実証された恋の有効期限
惚れるとどんな面でもよく見えるのは、強・状態異常、俗にいう【ノロケ】です。この状態異常は強いので弱い眠気覚まし程度では効きません。
哲学者の伊藤健太郎（『男のための自分探し』,2008,1万年堂出版）によると、恋をすると脳内で天然の覚醒剤PEA（フェニルエチルアミン）が出てハイな状態になり、覚醒剤を飲んだのと同じ状態になるそうです。また、誰かを愛すると今度は脳内麻薬物質（エンドルフィン）が分泌されます。これは医療用麻薬モルヒネに似た鎮痛作用があり、心を落ち着かせ、不安を静める働きがありそうです。恋することが覚醒剤や麻薬に匹敵するとは、私たちの脳はすごいですね。
「恋は盲目」になるのも頷けます。恋をすると相手を見る目にフィルターがかかります。この「恋人補正」の力は強力で、欠点が魅力に見えるほどです。科学で証明される以前から昔の人も気付いていたようで「あばたもえくぼ」ということわざで表現されてきました。好きになったら、ニキビのあともえくぼに見えるのです。すごい補正力ですよね。これで相手に惚れ込んでいるわけです。
ただし、忘れてはいけないのが効果の持続時間です。悲しいことに恋は3ヶ月しか持たないそうです。その効果が切れたらどうなるのでしょう。
２．恋が冷めたら「最大の魅力」が「最悪な欠点」になる
恋愛心理学用語に「フェイタル・アトラクション」という言葉があります。日本語に訳すと「致命的になる魅力」という意味です。最初は相手の最大の魅力的と思った部分が、最終的には致命的な欠点に見えてくるということです。
つまり、「私の意見を聞いてくれる優しい人」は「自分で判断できない優柔不断なヤツ」に、「私をリードしてくれるしっかりした人」は「私の都合を考えない自分勝手なヤツ」に変わってしまうということです。
恋のフィルターが取れたとき、欠点は欠点と正常に認識されるようになります。このとき、欠点が欠点に見えるくらいならまだいいのですが、これまで補正されてよく見えていた分、「ただの欠点」が「最悪レベルの欠点」に見えてしまうから厄介です。
相手のやることなすことが気に障るということもあります。相手が急にそういう行動や態度を取るようになったのかというと大抵の場合そうではありません。自分にかかっていたフィルターが取れて相手の欠点が見えるようになって不満を感じているのです。それに気付かず、相手のせいにしたり、イライラをぶつけてしまうと2人の仲に修正不可能なヒビが入ってしまいます。
相手が「理想の恋人」に見えるのは期間限定、恋のマジックは3ヶ月で終了です。まずはこの事実をしっかりと受け止めて、必要以上に相手を責めたり、自分はだめなんだと落ちこまないようにしましょう。
では、3ヶ月で恋のマジックが切れたとき、どうすれば互いに相手を尊重して、仲良くやっていけるのでしょうか。哲学者ニーチェにアドバイスをもらいましょう。
３．恋が冷めても仲良くやっていくには？哲学者ニーチェの名回答
孤高の哲学者ニーチェの答えはこうです。
「誰がこの愛を知っているだろうか？…この愛情の本当の名は友情である」
ニーチェ『悦ばしき知識』1882
「愛情の本当の名前は友情」とあるように、友情がもてるかどうかがポイントだということですね。フィルターがかかっているときは、何でもよく見えているので、相手を正しく理解できていないことがあります。フィルターがとれたときこそ、友達に対してしているように、相手の好きなことは何か、嫌がることは何か、好きな食べ物や趣味や基本的なところから相手を知っていく。フィルターがかかっていた分、友達より大変かもしれませんが、時間をかけて、相手の本当の姿を知る努力をすることが大事です。フィルターがとれたありのままの姿をみて認めて合っていけば、素敵な関係を築くことができるのですね。
まとめ
相手と生涯に渡って素敵な関係を築くいていくポイントは「ありのままに見ること」です。恋の期間が短いということもありのままに、相手の本当の姿もありのままに見ていきましょう。さらにもう1つ、人生を充実させるには、相手だけでなく自分の姿もありままに見ることが大事です。これについては別の機会に書きたいと思います。
