「毎日が虚しい」やりたいことをやっているのに虚しさが解消しない本当の理由

皆さんは、「むなしさ」って、感じることはありますか?「むなしい」とは、言い換えれば「つまらない」とか「物足りない」とか「だるい」「しんどい」など、どこか満たされない気持ちのことです。このむなしい気持ち、大学生のなんと8割の人が、感じたことがあるそうです。

えー!大学時代って、“人生の夏休み”って言われるのに、そんなに感じてる人がいるなんて、意外!と思うかもしれません。しかし、現実は、多くの学生がむなしさを感じていると言われています。

かくいう私も、小さい頃から、なんとなーく、むなしさというのを感じていました。
例えば、こんな風に、ふと思ったり感じたりすることはありませんか?

1.このままじゃダメだと思うのに、なんだかやる気が起きない…。
2.毎日、同じことの繰り返しだなぁ。このまま学生生活が終わるのかな。
3.カラオケや飲み会で、楽しいことやってるのに、ふと時折、冷めてしまう自分がいる
4.友達の楽しそうなSNSの投稿を見て、「あぁ〜いいな〜」と心の中で、ため息をついてしまう

皆さんは、当てはまるものはありますか?ちなみに、私は全部、思っていました!
それなりには、楽しいし、充実もしているはず。人並みに恵まれた生活も送れているはず。なのに、なぜか消えない、空しい心。

こういう心を感じたときの対処を間違えている人が多くあります。楽しいことで予定は埋まっているのに、やりたいことをやっているのに、なぜかむなしい心が消えないという人は、今回の記事を読んでください。これまでどうしてむなしさが解消しなかったのか、どうすれば根本から解消するのかがわかります。

目次】
1.むなしさってどんな心?
2.3つの退屈
3.やりたいことをどんどんやっても空しい心は埋まらない
4.どうすれば虚しさは解消するのか

まとめ

1.むなしさ ってどんな心?

そもそも、むなしさとは、どんな心でしょう?「心にポッカリ穴があいた様な」「空虚」「寂しさ」「漠然とした不安」こんなイメージでしょうか。心理学の専門家である諸富祥彦さんの著書『むなしさの心理学』(諸富祥彦)には、むなしさについてこのように書かれています。

それなりには楽しいしそれには充実している。けれどそれなりにはつまらない。
あなたがサラリーマンやOLであれば、仕事が終わり、疲れた体を通勤電車に揺られながら、ふとため息をつくその時。あなたが主婦であれば、家事や育児に追われた後で、束の間の休息をとっているその時。

そんな時、忙しく充実した毎日を送っているはずのあなたの心に、なぜか時折ぽっかりと空白が訪れる。そして、次のようなつぶやきがもらされる。

私の人生ってこのままで良いのかな。このままずっと続いていって、それで終わってしまうのかな。こんな毎日の繰り返しに、一体何の意味があるというのだろう。

諸富祥彦 『むなしさの心理学』


うーん。共感する人多そうですね。私も読んだ時、まさにこれ!って思いました。何気なく、感じているこの空しさ。普段、意識することは少ないかもしれませんが、実は、根っこがとても深いんです。

この「なんとなく空しい心」を詳しく研究した人があります。それが、マルティン・ハイデガー。20世紀最大の哲学者です。高校で倫理の授業をとっていた人は、聞いたことがあるかもしれません。ハイデガーは、「あーなんか、むなしい」「つまんないなぁ」と感じる私たちの心を3段階に分けて、むなしさというものを説明しています。

2.3つの退屈

私たちはどんなむなしさを感じているのか、ハイデガーの言う「3つの退屈」について見ていきましょう。

手持ち無沙汰の退屈

まず1つ目は、「手持ち無沙汰の退屈」です。ハイデガーは、「ドイツの片田舎の駅で4時間待っている時」と書いています。日本では、なかなかそんな状況はなさそうですが、想像しただけでもヒマそうですよね。

このように、時間はあるけど、何もすることがないときに感じる退屈を「手持ち無沙汰の退屈」と言います。何もしないと暇なので、何かして、退屈を紛らわそうとします。

例えば、電車に乗っている時。興味があるわけじゃないけど、なんとなく吊り広告をキョロキョロ見回してみたり、特に調べたいことはないけど、とりあえずスマホを開いて、なんかおもろしいニュースはないかなと見てみたりします。

友達と出かける予定が、急になくなって、5時間くらいフリーになったらどうしますか。私だったら、何か代わりの楽しみを探します。録画していたドラマを見たり、本を読んだり、何もしないということはありません。

つまり、私たちは、とにかく何かしていないと「退屈」に耐えられないのです。

仮に、こんなアルバイトがあったら、あなたは何日、耐えられますか。時給はなんと1万円!「時給1万円なんて、ちょっと怪しいけど、金欠だから行ってみよう。」と行ってみると、窓もない、真っ白の部屋に通されます。 部屋にあるのは、布団とトイレのみ。他は何もありません。もちろん、テレビもゲームも本もありません。「仕事内容は、ここにいるだけ。 最低限の食事は用意します」というアルバイト…

私が友達に「何日耐えられる?」と聞いてみたところ、短い人だと3時間、長い人で3日でした。「時給1万円もらえても、何もしないのは耐えられない」と口をそろえて言います。もし、こんな部屋に1週間も2週間も、閉じ込められたらと想像すると、気が狂ってしまいそうですね…。

何もない部屋で、「つまら~ん、つまら~ん」と悶えているときに、友達がルービックキューブを差し入れてくれたら、きっと飛びついて、やり始めると思います。普段、ルービックキューブがめちゃめちゃ好きという訳でなくても、飛びつくと思います。それは、あまりにも今の退屈が苦痛だから、何かでごまかさずにはいられないのです。

そういう観点でふりかえってみると、私たちが日頃やっていることも、それそのものが楽しいというより、退屈を忘れるために、時間潰しにやってるということも、実は多いのではないでしょうか。それだけ毎日、むなしさを感じているのかもしれません。

ただ、この退屈はまだ、暇つぶしや気晴らしで、対処ができるむなしさです。

楽しいことが終わった後に感じるむなしさ 

2つ目のむなしさは、「楽しいことが終わった後に感じる退屈」です。ハイデガーは、「友人のパーティに招かれて、ダンスをしてワイン片手におしゃべりしたり、歌ったりしたあと、家に帰ってきて自分の書斎にある山積みの書類を見た時」と言っています。

私の周りでは、このむなしさがよくわかるという人が多いのですが、皆さんはいかがでしょうか。

私の場合は、高校の文化祭です。私の高校では、劇や模擬店をやるクラスが多く、文化祭の1ヶ月前くらいから準備がはじまります。お店に飾るものや、劇に使う道具など、放課後、集まって作ったりしていました。

そしてなんとか当日に間に合わせ、無事、成功して終了。「あ〜楽しかったね」といいながら、「さぁ、片付けだ」と、1ヶ月かけてみんなで作ったものを、自分たちの手で片付けていく瞬間は、何とも言えない気持ちになりました。

夏休みの旅行も、どこに行こうかと計画を立てたり、荷物を詰めている時が一番楽しく、いざ旅行に行って、旅行の終わりが近づくと「楽しい時間も、もう終わりか…」と寂しくなってしまうことはないでしょうか。

あれだけ楽しかったのに、終わってしまうと、気持ちがシュンと落ちて、空しくなる。しかも、楽しみにしていた度合いが大きいほど、気持ちの落ちも大きくなってしまう。これが「楽しいことが終わった後に感じる退屈」です。

この退屈も、時間が解決してくれたり、別の楽しみを設けたりして、まだ対処ができます。

1つ目と2つ目の退屈は、ちょうど振り子のようなものです。何もしないのは、退屈だから、何か楽しめるものを計画します。カラオケに、旅行、映画、買い物など、ちょっと遠くへ出かけてみたり、友達と会ってみたり。振り子が振れ始めます。★振り子カット

すると、楽しいし、充実してると思えます。いつもと違う、非日常が心をわくわくさせます。しかし、振り子は最高潮の地点で止まってはくれません。今度は、反対側に振れていきます。そこにあるのは、楽しみが終わった後の退屈です。楽しいところで止まってくれたらいいのに、そうはいきません。そこで、また別のことして楽しもうとしますが、終わるとまた退屈に戻ります。つまり、振り子は退屈から退屈へと振れているのです。

根源的な虚しさ

そして、ハイデガーが最も注目したのは、3つ目のむなしさです。これが、最も深いむなしさで、何がある、何がないという問題でない。気晴らしのきかない、「人間存在そのものの虚しさ」と言われます。

「こんな毎日の繰り返しにどんな意味があるんだろう」「何をやってもつまらない」「なんとなく寂しい」はっきりした原因があるわけじゃないけれど、どこかモヤモヤした不安やむなしさのことです。

これは、実は、どんな人も心の奥底に抱えているものだといわれます。

3.やりたいことをどんどんやっても虚しい心は埋まらない

あなたは、むなしさを感じたとき、何をしますか。大学生なら、サークルを始めたり、新しいバイトをしたり、資格を取ったり、旅行に行ったりしてそのむなしさの穴を埋めるかもしれません。やりたいことをやって、楽しいことをすれば、心が明るくなるように思います。しかし、それは根本の解決にはなりません。人生を空しくさせている根本的な原因は、楽しみが足りないからや、やりたいことができてないからではないからです。

実業家の堀江貴文氏は著書『時間革命』の中で、忙しさを充実感だと取り違えていないか、 「多忙=充実」とは言い切れないと問いかけています。

多忙な状態が続いていると、なんとなく毎日が充実しているような錯覚に陥ってしまう。しかし、どれだけがんばっても、なぜかまったくハッピーになれないという人がいる。あたりまえだ。

おあなたの心はじつは1ミリも動いておらず、他人のために駆り出されっぱなしになっているのだから。

「多忙」な人というのは、ものすごく忙しいにもかかわらず、心のどこかでは「退屈」しきっている。膨大な仕事を次から次へと処理しながらも、どこかでそれを冷めきった目で見ていて、本当はそれに飽き飽きしている。

「多忙」と「暇」というのは、真逆のようでいて、じつはそっくりな状態なのである。「忙しさ」を充実感だと取り違えていないだろうか?

堀江貴文『時間革命』

心がむなしさを抱えた状態で、単純にやりたいことや楽しみの量を増やしても、心からの充実感を得ることはできません。もし、やりたいことをどんどんやっていくことで充実を感じられるならば、好きなことに時間を使えて、やりたいことを実行するだけの体力もある大学生が、8割もむなしさを感じるということはないはずです。

多くの大学生は、学業に加えて、バイトをしたり、サークル活動に打ち込んだり、友達とカラオケに行ったり、楽しいことで手帳が埋まっていて、忙しくしていると思います。そのような大学生が、心はどこか退屈していて、「なんか、つまんない、虚しい。」という満たされなさを感じているのです。

大学生の口癖で多いのは、「あー、ヒマ。」です。自分もしょっちゅう言っていると思った人もあるかもしれません。手帳を見れば、予定は埋まっているのに、「ヒマ」という言葉がついつい口に出ている。それは心が満たされきらず、退屈しているからでしょう。

この退屈した心と楽しいことは、夜空と花火に例えることができます。

大規模な花火大会を想像してください。真っ暗な夜空に、花火が打ち上がと、華やかで明るくなります。特に、クライマックスの花火は、何発もの大輪の花火が次から次へと打ち上げられて、まるで昼間かと思うほど、周囲が明るくなります。

しかし、花火は打ち上がったと思ったらすぐに消えてしまいます。どんなに豪華な花火でも、10秒もつかどうかでしょう。花火が打ち上がってから1時間も、ずっと光っているということはありません。前の花火が散ると、次の花火を打ち上げます。そして、次ぎ、次ぎと、途切れないようにどんどん打ち上げていきます。

夜空は私たちの退屈した心、花火というのが日々のいろんな楽しみです。カラオケや旅行、買い物、ゲーム、漫画、音楽などです。それをやっている時は、夢中になれて楽しくて、つまらなさがなくなったように思います。しかし、残念ながら、その楽しみがずーっと続くわけではありません。やがて終わりがきます。

楽しい時ほど、時間は一瞬で過ぎてしまい、「あー終わっちゃった」と寂しくなります。そこで、また楽しい花火を打ち上げるのですが、終わってしまうとまた暗い状態に戻ってしまう。

さて、ここで考えてみましょう。花火の量を増やして、夜の暗闇は消えるでしょうか。しばらくは明るさが持続するかもしれませんが、夜空は夜空のままですから、花火が途切れたら、結局、もとの暗闇に戻ってしまいます。

このよぅに、単純に楽しみという花火を途切れないように打ち上げれば、むなしさが解消するわけではありません。一瞬、消えたように思えるかもしれませんが、根本的から解消したことにはなっていないのです。

どうすれば虚しさは解消するのか

では、根本的に解消するとは、どうなることでしょう。夜空と花火の例えでいえば、暗い夜空が、昼の明るい空になることです。

サークル活動や、バイト、遊びなどは一時的には、心を明るくしてくれますが、その楽しい気持ちは一瞬で消えていきます。もう1つ別のサークルに入ったり、友達との予定を増やしたりしても、根本のむなしさは消え去りません。楽しみの量が問題ではないのです。

ちょうど、熱のある時はどんなに豪華なご馳走を並べられても、美味しく感じられないのと同じです。ご馳走自体は美味しいのですが、熱のためにそれを味わうことができないのです。しかし、体調がよくなれば、美味しく食べることができます。

何をしてもむなしい心が消えないのは、熱に浮かされている状態です。どれだけ色々の楽しみがあっても、心から満足することはできません。それは、楽しみそのものに問題があるのではなく、自分の心が問題なのです。

自分の心が明るくなれば、例え四方が壁に囲まれた何もない空間にいても満足できますし、周りに何か楽しみがあれば、それを心から楽しむことができるようになります。

暗い心が明るくなるには、ハイデガーのいう3つ目の「根源的な虚しさ」に、目を向けていかねばなりません。

まとめ

大学生の8割が感じていると言われる虚しさ。何もすることがないときに感じることもあれば、楽しみにしていたビッグイベントが終わってしまうときに感じるという人もあると思います。

そんな虚しさに対して、私たちは、やりたいことをやって、楽しく充実した気持ちを持続させようとします。ところが、一時的には、むなしさが消えたように思っても、やりたかったことが終わってしまえば、退屈でつまらい気持ちに逆戻りです。

むなしさを感じるヒマがないくらい、やりたいことを次々にやっても、根底にむなしい心がある限り、むなしさが解消することはありません。

根本的に解消するとは、むなしい心、それ自体が、充実し満足した心になることです。そのためには、自分自身の心をよく見つめなければなりません。
むなしい心は感じたくない、見たくないと思いますが、むなしい心と向き合うことが大事です。

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